風を切って走れ
遥「…何しに、来たの?」
顔をこちらに向けずに、もっと膝に深く埋めていた。
慰めに来たわけではない。口下手な俺が、何を言っても今は無駄になるだろう。
ただ、ただ俺は…
謝りたいんだ。
木「…ごめん」
遥「…」
木「俺、何も知らないくせに勝手なこと…ばっか言って
やる気がないかと思ったんだ。
もっと…陸上やりたかったんだ…
勝手に自分の理想をぎゃあぎゃあと…本当にごめんな」
篠木にもう少し近寄るために足を進め、隣に座った。
それでも…表情はみえなかった。
遥「………なきゃ」
木「え…?」
遥「私は、いつでも笑ってなくちゃいけないんだよ…」
その声は、苦しんでいるように聞こえた。
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