ひまわり


体育館を出てすぐ、あたし達の担任の先生であろう男の先生が、大声で教室へと促した。


1年生の教室は1階。


そして、あたし達『1-D』は、一番端の教室だった。


ガラガラっと音を立てて新しい学びの場のドアを開けると、埃の匂いがあたし達を包んだ。


けれど、綺麗に掃除されている教室に一歩足を踏み入れると、

今日から高校生なんだなって、急に成長した気分になった。


席は、出席番号順に腰かける。


あたしの名前は『新森(シンモリ)』だから、真ん中の一番後ろの席だ。




――落ち着かない。


席に着いて、背中を丸めて目だけをキョロキョロ動かす。


式から解放された生徒達は、今まで充電した体力をこれでもかってくらい活用して騒いでいた。


入学式の日に、あの輪の中に入っていけなかったら

明日はもっと無理……だよね。




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