ひまわり


ある程度話す事は決めていたはずなのに、実際声に出して伝えると、頭に並べた単語をそのまま声にしただけだった。


「す、すみません。
わけわかんない事言って」


部室内はすごく静かだった。


遠くで聞こえる賑やかな声や、誰かが走り去る足音。


あとは、あたしが足を動かす度に音を鳴らす砂の音。


それ以外は、無音の世界だった。


頭の中は酸素不足で、何が言いたかったのかわからなくなってしまう。


「喧嘩でもしたの?」


あたしの意味不明な言葉を理解して、先輩が眉を上げる。


前かがみになって、俯くあたしを覗き込んでくれた。


喧嘩……というか、あたしが一方的に怒らせてしまったんだ。


それも、理由もわからぬまま。


「真由ちゃんと?」


先輩の言葉に、ブンブンと頭を振る。


「他の奴か……。原因はわかってるの?」


原因――。


少し考えて、軽く頭を振ってから、先ほどよりも小さな声で話した。



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