ひまわり


「あたしが……
あたしが怒らせてしまったんです。
彼、野球が好きで、亡くなったお父さんとの思い出だったって言ってました。
体育の時間、彼が投げたボールがすごく速くて。
あたし、そんなに速い球も投げれるし、野球が好きなら部活やってみたらいいのにって、興奮した勢いで言っちゃったんです。
そしたら、突然、怒鳴られて……。
あたし、いいアイディアだと思ったんです。お父さんとの思い出なら、彼が野球をやったほうが、きっとお父さんだって喜ぶはずだって。
だから、あたし、彼が怒鳴る理由がわからなくて」


ゆっくりと、全てを言いきった。


やっぱり、片言なあたしの言い方は、理解するのが難しいと思う。


だけど、全て話し終えて先輩の顔を見たら、納得するように頷いて、手にしているグローブに視線を落としていた。


「理由がわかんない、か」


はい、と大きく頷く。




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