ひまわり
「いつまでもこのままってわけにもいかないし、仲直りする為に勇気出して話しかけてみたら?
ずっと、グランドにいるのは嫌だろ?」
先輩がよいしょと立ち上がって、笑顔であたしに近づいてきた。
そして、がっしりと肩を掴まれる。
「好きなら勇気出せ」
そう言って、先輩は不敵な笑みを浮かべた。
「なっ、別に好きなんかじゃありませんっ!」
今日一番の大声が、少し肌寒い部室に響いた。
先輩は『はいはい』と言って、信じる要素なし。
「まぁ、そいつが野球やる気になったら、俺が面倒みてやるよ」
ヒラヒラと後ろ向きに手を振って、『またな』と、部室を出て行った。
あたしは慌てて、先輩の背中に『ありがとうございました』と声をかけ、深々と頭を下げた。