ひまわり


ザーっと、視界を狭め、あたしの耳に不愉快な雑音だけを残していく。


真由の表情は強張っていて、瞳には涙が浮かんでいる。


「あたしさ、先輩達のタオル洗う為にさっき、部室にいったんだよね」


――嘘。


「あたし、最初は見間違いだと思ったんだ。
だって、そんなはずないもん。莉奈、職員室行くって言ったもんね」


真由……、違う。


「先輩と居るのは、津崎先輩かなとも思った。
だけど、どんなによく見たって、先輩の後に部室から出てきたのは、莉奈だったっ!」


真由の瞳から、涙が溢れ出す。


「ねぇ、なにしてたの?」

「………」


真由の止まらない涙を見て、あたしは身動きが取れなくなった。


説明すら出来ない。


「あたしに嘘までついて、先輩と二人っきりになりたかったの?」


違う……。


真由、違うんだ。


真由が思っているような事は何も……。


「莉奈、協力してくれるって言ったよね」



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