ひまわり


シャッ――……。


突然カーテンを開けられる。


だけど、あたしは彼の顔を見る事が出来なくて、ギュッと体を丸めた。


そんなあたしを見ても、彼は声を出すことはなかった。


何も言わずにあたしの足元に腰掛けて、静かに時間が過ぎるのを待つ。


余計なことは何も言わずに一人にしてくれて、けれど、必ず傍にいてくれる。


心が落ち着いた。




それからしばらくすると、校内に下校のチャイムが鳴り響いた。


保健室の先生はどこに行っていたのか。


チャイムが鳴って少ししてから、ようやく戻ってきた。


あたし達がドアへ向かう途中で、先生は一瞬驚いた顔を見せたが、ややこしい事になる前に足早に保健室を後にした。


「なぁ……」


初めて、校内で彼があたしの隣を歩いている。


不思議な気分だ。


だけど、ちょっと嬉しい。


あたしは、肩を並べる彼の顔を無言で見上げた。





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