ひまわり
「これからは、クラスの奴らに何を言われても、絶対に一人で悩まないか?」
そう言う彼の横顔は何時にもまして真剣で、あたしは彼から目をそらさずに、ただ『うん』と頷いた。
すると、何かを決心したように、彼が一度あたしを見下ろした。
そして、すごく優しい表情で微笑んでくれた。
彼が何を考えているのかわからないけど、その笑顔に安心した。
二人で廊下を歩くと、当然のごとくみんなの注目が集まった。
『え、なんで?』すれ違うみんなが、こんな顔をする。
それが、くすぐったかった。
彼の隣を堂々と歩けている嬉しさ。
口元が自然と緩んでくる。
教室までたどり着くと、後ろのドアの前で、彼が一旦足を止めた。
あたしも同じように、彼の一歩後ろで立ち止まり、彼を見上げる。
彼の視線は、教室のある所を見て、止まっていた。
真っ直ぐに、真剣に――。
教室には、まだ数人のクラスメートが残っていた。
その中に、放課後の計画を楽しそうに決めているあの三人組の姿と、部活に行く準備を始める真由の姿があった。
まさか……っ。
あたしは、彼の制服の裾をクイッと引っ張った。