ひまわり
「心配すんな」
風に消えるくらいの声だったけど、あたしの耳に確実に届いた彼の言葉。
今この状況で、心が満たされたなんて表現は不謹慎かもしれない。
だけど、そう言う以外に適している言葉は、きっとないと思った。
今から彼が何をしようとしているのか、正直不安だ。
だけど、さっきの彼の言葉に安心したのは確かだ。
色んな気持がないまぜになり、胸の位置で両手をきつく握った。
「よぉ」
お腹を抱えながら爆笑している三人組の背後で、彼は不敵な笑みを浮かべながら低い声を出した。
一瞬彼女たちは『はぁ?』と後ろを振り向いたが、彼の顔を見た瞬間にみるみる顔を青ざめさせていった。
今まで動物園のように騒がしかった教室が、彼の不気味な行動にシンと静まり返る。
足を組んで座っていた彼女達は、不自然に目を泳がせ、部活に行く途中だった真由は、抱えていた大きな鞄を机の上に下ろした。