ひまわり


教室の空気がピンと張りつめ、異様な静けさに包まれた。


「ふん、なんだ。
おまえらって、大したことねぇんじゃん」


怯える彼女達に、彼がとどめの一言を。


ビクッと肩を上げた彼女達の目には、たくさんの涙が浮かんでいた。


少し脅し過ぎのような気がする。


ここまで震えあがる彼女たちを見ていると、なんだか心が痛んだ。


彼女達の恐怖は、きっと限界まできていると思う。


だけど、ありもしない噂を流したのも、あたしを一人にさせたのも彼女達だ。


これぐらいの事、なんて事ない。


そう思ってしまうあたしは、醜い?


ガタガタ震える三人組の一人の目から、とうとう涙が流れた。


鼻をすすり、嗚咽を零す。



その時だった。


ガタンっと大きな音をたてて、彼がその場に立ち上がった。


あいつの顔を見ると、もう笑みなんかは零れていない。


あたしが見た事もない形相で、彼女達を睨みつけていた。


もしかしてっ……。


嫌な予感がして、いつでもあいつを止められるように、教室に一歩足を入れた。


急に不安に襲われ、乱れる鼓動で目の前がぶれた。


やめて……っ。


慌ててもう一歩を足を踏み出した、その時。


「これぐらいで、泣いてんじゃねぇよ!」


心臓が飛び上がった。


耳鳴りがする中で、彼の怒鳴り声が耳に残る。





< 152 / 339 >

この作品をシェア

pagetop