ひまわり
教室の空気がピンと張りつめ、異様な静けさに包まれた。
「ふん、なんだ。
おまえらって、大したことねぇんじゃん」
怯える彼女達に、彼がとどめの一言を。
ビクッと肩を上げた彼女達の目には、たくさんの涙が浮かんでいた。
少し脅し過ぎのような気がする。
ここまで震えあがる彼女たちを見ていると、なんだか心が痛んだ。
彼女達の恐怖は、きっと限界まできていると思う。
だけど、ありもしない噂を流したのも、あたしを一人にさせたのも彼女達だ。
これぐらいの事、なんて事ない。
そう思ってしまうあたしは、醜い?
ガタガタ震える三人組の一人の目から、とうとう涙が流れた。
鼻をすすり、嗚咽を零す。
その時だった。
ガタンっと大きな音をたてて、彼がその場に立ち上がった。
あいつの顔を見ると、もう笑みなんかは零れていない。
あたしが見た事もない形相で、彼女達を睨みつけていた。
もしかしてっ……。
嫌な予感がして、いつでもあいつを止められるように、教室に一歩足を入れた。
急に不安に襲われ、乱れる鼓動で目の前がぶれた。
やめて……っ。
慌ててもう一歩を足を踏み出した、その時。
「これぐらいで、泣いてんじゃねぇよ!」
心臓が飛び上がった。
耳鳴りがする中で、彼の怒鳴り声が耳に残る。