ひまわり


真由の目を見て言うと、


「莉奈っ!」


真由が、あたしに抱きついてきた。


突然の事で、あたしの体が一瞬のけ反った。


耳元で何度も『ごめんね、ごめんね』って真由が繰り返すもんだから、我慢していた涙があたしの瞳からも零れ始めた。


「あたし、莉奈に酷い事たくさんしてきた」

「真由、もういいよ」

「莉奈の言葉を、一度も聞いてあげれなかった」

「真由、もういいから。
あたしも悪かったの。真由に嘘までついて」


あたしが言うと、ブンブンと大きく頭を横に振った。


「莉奈が、一生懸命書いてくれた手紙、あたし……」


真由が途中で言葉を区切り、あたしから離れた。


「手紙を……」


真由が俯いた、その時。


「ここにあるよ」


蔵島恭平が、自分の机から小さな紙袋を持ってきた。


彼の言葉に、真由は目を見開いていた。


真由の目の前まで紙袋を持ってきた蔵島恭平は、『ん』とぶっきら棒に手渡した。


あの中に何が入っているのか、バカなあたしでもわかる。


真由は、紙袋の中を見た瞬間に、わぁーっと声をあげて泣き崩れた。


「ごめん、本当にごめん」


真由が何度も繰り返す。


あたしはそんな真由の背中をさすって、「あたしもごめんね」って、涙を流した。


あたし達が抱き合いながら涙を流す姿を見て、あの三人組はバツが悪そうな顔をして教室から出て行った。



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