ひまわり


あっ……。


気持が落ち着き、裏門までの道を一人で歩いていると、赤い自転車にお尻を乗っける蔵島恭平の姿を見つけた。


向こうもあたしに気づき、両手をポケットに突っ込みながら、自転車から腰を上げる。


待ってて、くれたの?


なぜか、あいつの姿を見つけただけで、あたしの鼓動が暴れ出した。


確実に、変だ。


真顔でこっちを見ている蔵島恭平に目を向けて、足が動かせなくなった。


涼しい風が、あたしの頬を撫でる。


さっきのお礼も言いたいのに、この高鳴る鼓動が邪魔をする。


「おせぇ」


ぽつりと言う彼の声が、さらさらと風に乗ってあたしに届く。


「ごめん。まさか、待っててくれてるなんて思わなくて」


ねぇ、あたしの声が震えてるのわかる?


「別に、待ってたわけじゃねぇし」


そう言う彼の声は、相変わらずぶっきら棒で。


「何突っ立てんだよ。 早く来い」


だけど、そのつんけんした言い方はただの照れ隠し。



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