ひまわり
「わりぃ、遅れた…… って、キモっ!」
門から顔を出した恭平が、あたしのニヤける顔を見てブルっと肩を震わせた。
「なっ、遅れてきた分際で失礼な事言わないでよ」
相変わらず、このやり取りは変わらない。
まぁ、別に付き合いだしたわけでもないし、当たり前か。
「――っ!」
一人で沈みきっていると、突然彼にでこピンされた。
「ぶっさいくな顔してないで、さっさと行くぞ」
ぶさいく……。
ぶさいく……。
頭の中で連呼させながら、無言で歩く彼の背中に、黙って着いて行く。
ぶさいくなんて、酷い。
結構、ぐっさりとくる言葉があたしの体の中を駆け巡っていた。
彼は、駅に向かう途中にある花屋さんで、ガーベラの花を買っていた。
もちろん、色はオレンジで。
色鮮やかに並ぶ花を見ていると、『ぶさいく』という嫌な言葉があたしの中で浄化されていった。