ひまわり


「あたしが汗を流しながら買い出しに行ってるっていうのに、お二人さんはおあついですね」


重そうに抱えるビニール袋の中を覗き込んでみると、スポーツ飲料水やテーピングなど色々なものが入っていた。


今年も甲子園出場を決めた野球部は、あと一週間後に控えた試合の為にラストスパートをかけている。


「学校の側まで、半分持つよ」


あたしが言うと、『いいよ』と真由が首を横に振った。


だけど、『いいから』とあたしが強く言うと、少し躊躇ってから『いい?』と袋を持ち上げた。


「もちろん」


あたしが真由から荷物を受け取ろうと手を伸ばすと、


「あっ、ダメ。莉奈はこっち。
こっちの方が軽いから」


あたしが手を伸ばした方とは逆の袋を、あたしに渡そうとした。


――と。


「それは、俺が持つ。
おまえはこっち」


隣の彼が、いきなりあたしにあの紙袋を渡してきた。


そして、真由の手から重い方の袋を奪い取る。



< 175 / 339 >

この作品をシェア

pagetop