ひまわり
「あたしが汗を流しながら買い出しに行ってるっていうのに、お二人さんはおあついですね」
重そうに抱えるビニール袋の中を覗き込んでみると、スポーツ飲料水やテーピングなど色々なものが入っていた。
今年も甲子園出場を決めた野球部は、あと一週間後に控えた試合の為にラストスパートをかけている。
「学校の側まで、半分持つよ」
あたしが言うと、『いいよ』と真由が首を横に振った。
だけど、『いいから』とあたしが強く言うと、少し躊躇ってから『いい?』と袋を持ち上げた。
「もちろん」
あたしが真由から荷物を受け取ろうと手を伸ばすと、
「あっ、ダメ。莉奈はこっち。
こっちの方が軽いから」
あたしが手を伸ばした方とは逆の袋を、あたしに渡そうとした。
――と。
「それは、俺が持つ。
おまえはこっち」
隣の彼が、いきなりあたしにあの紙袋を渡してきた。
そして、真由の手から重い方の袋を奪い取る。