ひまわり


恭平は、涼しい顔で袋を抱え、無言で歩きだした。


なんだ……?


意識とは関係なく紙袋を持たされたあたしの脳が、激しく混乱する。


真由と二人で、袋を抱える恭平の背中を見て、目をぱちくりさせた。


あたしが頭を傾げると、また真由があたしに体当たりしてきた。


『このこのー』と、不敵な笑みを浮かべて。


「想われてまんな」


ウシシと口に手を当てながら笑う真由は、袋を軽く振りながらふわふわと歩いていた。


真由のおかしな行動を見て、また頭を傾げる。


恭平は、終始無言のまま歩き続けていた。


まだ、人前で親しく話そうとは思わないのかな。


せっかくあの三人組がいい噂を流してくれたのに、恭平の方は、今までとなんら変わりなかった。


前みたいに、恭平の顔を見ても怖がる人も減ったし、あたしが隣にいても、憐みの目を向ける人もいなくなった。

夏休みが明けたら、みんなと打ち解けるようになっていてほしい。


恭平はいい奴なんだから、友達と楽しく過ごしてもらいたいよ。





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