ひまわり
真由はまた両手にビニール袋を抱えると、学校の裏門まで続くなだらかな坂道を、軽快に走って行った。
「莉奈をよろしくねっ!」
って、顔だけをあたし達に向けながら。
「あいつ、なんか苦手」
真由がパタパタ走り去る背中を見ながら、恭平がぽつりと言った。
「なんで?男子には人気あるでしょ?」
「そうかもしんねぇけど、俺にはあわね」
そう言って、両手をポケットに突っ込んで門を潜っていく。
あたしも溜息をついて、恭平の後を追う。
家まで続く砂利道が、歩く度に軽やかな音をたてた。
花壇に植えてある向日葵が、真夏の太陽を逃がさないように、必死に見上げていた。
「でも――」
玄関の前で足を止めた恭平が、太陽に目を細めながらあたしを振り返った。
「おまえのダチだし、うまくやるよ」
――…。
ほんっとに。
クールすぎんだよ。
そんな事突然言われたら、嬉しくなっちゃうでしょうが。
それだけで、舞い上がっちゃうんだから。
あたしが単純なのは、あんたが一番わかってるでしょ?