ひまわり
恭平が診察室から出てきたのは、椅子に座ってからすぐだった。
ガラガラっとドアの開く音がして、その方に目を向けると、診察室に入る前よりもめんどくさそうな顔をした恭平がいた。
「どうだった?」
すぐに、彼の元に駆け寄って問いかけると、
「俺の表情で理解して」と、うなだれた。
また、何度も『めんどくせぇ』を繰り返す。
「やっぱり、前より視力落ちてたの?」
「あぁ」
「先生、何か言ってた?」
「いや、別に」
「別にって事はないでしょ?」
「マジでなんもねぇよ。
視力がまた落ちてたぐらいだよ」
何もないと言い切る恭平に、あたしは何故だか腑に落ちなかった。
診察してもらったのに、変に胸騒ぎがして――…
だけど、先生が特別何も言わなかったのなら、信じるしかない。