ひまわり


『迷子のお知らせを致します。優斗君と美穂ちゃんとおっしゃる、四歳のお子様をお預かりしています。お母様は――』


 
放送の途中で、あたしは二人の元へと走った。
 

受付のお姉さんが、あたしを見て顔を明るめた。 
 

だけど、あたしの表情を見て、すぐに怪訝な表情になる。



「二人とも、帰ろう――」
 

強く、優しく抱きしめた。
 

二人は、あたしの腕の中で声をあげて泣き出した。
 

何度も、腕をすり抜けようともがいている。


「優斗君、美穂ちゃんっ!」

「やだっ!
パパとママを捜してもらうまでは、帰らない」
 

そう言って、受付のカウンターに駆け寄る。


「パパとママ、絶対ここに来ますよねっ!」
 

カウンターの女性の足元でポロポロと涙を流していた。


「優斗君、美穂ちゃん、ここにはいないんだよっ」

「いるもんっ!」

「どうして?」

「だって……」


美穂ちゃんが、洋服の裾をギュっと握りながら、あたしの方を向いた。




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