ひまわり


「だって、お友達は、パパとママとはぐれたら、みんなこうやって捜してもらうんだもん……」

「………」

「そしたら……そしたら、パパとママはすぐに来てくれて、絶対来てくれて……。
みんな、みんな、パパとママがいて……」
 

美穂ちゃんは、息も途切れ途切れで、何度も何度も涙を飲み込んでいた。
 

小さな手で涙を拭って、小さな鼻を真っ赤にして、小さな顔をグシャグシャにして。


「ここに、いなかったら、パパとママは、どこにいるの?
優君と美穂のパパとママは、どこにいるの?」
 

二人は、嗚咽を零しながらあたしの足元に駆け寄ってきた。


「みんな、幼稚園にお迎えに来るのは、ママなの
。お友達は、みんな言うんだよ。
『なんで、いつもママ来ないの?』って――。
なんで?
ねぇ、なんで?」
 

もう、目の前の光景は、何も見えなかった。
 

溢れる涙で、優斗君と美穂ちゃんの顔ですら、歪んで見える。
 

必死に堪えようとすると、頬の痙攣が止まらなかった。
 


――何も、言ってあげられない。



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