ひまわり
──えっ?
教会の横の小さな門から出てきた人物に、思わず口をあんぐり開けてしまった。
なんで――?
美しいこの場所に、なんとも不似合いな人物。
蔵島恭平。
なんでこの人が、教会の敷地内にあるこの門から出てきたのか、あたしには理解できない。
彼は門に手をかけたまま、一瞬、あたしに目を向けた。
確かに絡んだ視線。
今日も相変わらず明るい髪に、真赤に目立つトレーナー。
だるそうに頭をかきながら欠伸をする蔵島恭平が、一体ここで何をしていたんだろう。
あまりの突然の出来事に、あたしの体が石化する。
勇気を出して声をかける事も出来なければ、器用に微笑むことも出来ない。
頭が混乱するあたしをよそに、蔵島恭平は完全にあたしを無視して歩きだした。