ひまわり
「どこ行くの?」
「トイレ」
背中を向けながらぶっきら棒に言う恭平に
「もしかして、やきもち?」
と、いたずらっぽく言うと、彼は首だけで振り返りながら軽く微笑んだ。
「ふん、俺はもっと愛されてんだよ。
馬鹿ばっか言ってねぇで、必ず来いよ。おまえが来ないと俺が殺されるんだからな」
そう言って、後ろ向きに手を振り教室を出ていった。
「莉奈ちゃん、いらっしゃい!」
玄関のドアを横に引くと、おめかしした優斗君と美穂ちゃんが出迎えてくれた。
あたしも今日はお洒落をして、お気に入りの白いワンピースを着た。
「お誕生日おめでとう」
開口一番に言うと、優斗君と美穂ちゃんはあたしの両手を引っ張ってリビングに向かおうとする。
前のめりになって二人を必死に追っていると、部屋のドアから恭平が顔だけ出した。