ひまわり
ちょ、待って……
背中を向ける蔵島恭平に声をかける。
もちろん、心の中で。
そのあたしの心の声は届くはずもなく、
未だ教会から漏れているパイプオルガンの音色に消されてしまった。
足を地面に擦りながら歩く彼の後ろから、小走りで着いて行く。
別に、尾行してるわけじゃないよ。
向かう先は同じだと思って着いて行っているのであって、別に気配を感じて少しは後ろを振り向いて欲しいなんて、これっぽっちも思わない。
あたしは、彼の後ろを小走りしたり、たまにゆっくり歩いたりして、一定の距離を保っていた。
なんか派手過ぎて、こうやって間近で見るとすごい威圧感。
やっぱり、近寄りがたい。
だけど、なんとなく、目がいってしまうんだよね。
不思議……
まだ会ったばかりで、一度も会話なんてしたことないけど、彼の謎めいた雰囲気が、近寄りがたいと思う反面、何故か少し気になってしまうの。
真由が言っていた、女子から注目を集めていたって言うのは、こういう事なのかな。
そうこうしているうちに、いつの間にか学校へとたどり着いていた。
やっぱり、この道は裏門に繋がっていたんだ。
自分の勘に頼ってよかった。
ちょうどチャイムまでもが鳴り響き、あたしは少しでも間に合わせようと、歩くスピードを上げた。