ひまわり


「よーし、久し振りにトランプでもやるか?」
 

御馳走を短時間で食べつくすと、恭平が立ちあがってみんなを見下ろした。


「さんせーいっ!」
 

二人は声を合わせて手を挙げる。
 

ちょっと待っとけと恭平が歩きだし、優斗君と美穂ちゃんはトランプが出来るようにテーブルの上を片づけ始めた。




ドンっ!




 
大ちゃんから布巾を借りてテーブルを拭いていると、リビングの入口で鈍い音がした。


「恭平、大丈夫?」
 

入口でぶつけた左肩を押さえて、恭平は顔を歪めていた。


「何やってんの? 気を付けなよ」
 

嫌味ったらしく笑いながら言うと、恭平は何やら腑に落ちない表情で「あ、あぁ」と返事をした。
 

その時の表情に『うん?』と疑問に思ったけれど、別に大して気にしてなかったんだ。


「やべ、目開けて寝てた」
 

なんて彼が冗談を言うから、みんなで『バカだぁ』とか、『アホだぁ』とか、手を叩きながら爆笑した。



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