ひまわり
「あぁ――……」
先程までカチャカチャ物音が支配していたこの部屋が、一瞬にして無音の世界になった。
恭平は動かしていた手を止め、だらんと力なく下ろした。
背中を丸めて床に座る恭平が、静に息をする。
「野球さ……
やっぱり、やりたいんじゃないの?」
「………」
あたしが聞いても、恭平からの返事はなかった。
この後も言葉を続けたかったけれど、以前のような事は二度と起こしたくなくて、出てきかけた言葉を、ごくりと飲み込んだ。
恭平の背後で所在なく佇んで、恭平の背中と、タンスの上のグローブを交互に見つめた。