ひまわり
「ちょっとちょっと、莉奈っ!」
チャイムが鳴り終わると同時に教室に滑り込んだあたしを、真由が引き止める。
よかった、先生はまだみたい。
あたしは胸を撫で下ろしながら、走って乱れた呼吸を整える為に、勢いよく机に突っ伏した。
朝からかなりハードだったな──…
「ねぇねぇ、なんで?どういうこと?」
机にへばりつくあたしの肩を激しく揺らしながら、真由が耳打ちしてくる。
まだ騒がしい教室なのに、真由は何かに遠慮して小声で話してきた。
「なんで、蔵島くんと登校してるの?」
どかっと椅子に座る蔵島恭平に目だけを向けて、声が漏れないように口元に手を当てる。
「別に、一緒に登校したわけじゃないよ」
「じゃ、なんで同じタイミング?」
興味ありますという顔で真由に聞かれ、あたしも蔵島恭平の背中にちらっと目を向けた。