ひまわり


「それより、真由は?
平岡先輩」
 

あたしが聞くと、真由は大きく首を横に振った。


「無理っしょ。
倍率高いべ?断られてへこみたくないし」

「でも、先輩といられるのは今年が最後だよ?」

「あーっ、それを言わないでー。
余計へこむー」
 

真由は耳を押さえて、机に突っ伏した。


『今年が最後――』


自分で言った言葉だったけど、心が沈んだ。
 

どんなに楽しい時間を共に過ごしていても、いつかは、離れ離れになる日が来る。


そう思うと、急に心細くなった。


「先輩………」
 

丸まる真由の背中が、哀しい。


「きっと、みんな告るんだろうね」

「っえ?」

「だってそうでしょ?
学園祭って言ったら、告白でしょ?」

「そうかな」

「そうだよ。
お祭り気分の時は、ゲットしやすいんだから」
 

今まで丸まっていた背中をピンと伸ばし、ガッツポーズを決める。




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