ひまわり
あたしは、
『別に、気になってるわけじゃないんだけどね』
と前置きして、蔵島恭平の事を真由に話した。
今朝、遅刻防止の為に近道を探していたら、素敵な教会を見つけた事や、
何故か、その教会の敷地内の門から蔵島恭平が出てきたこと。
教室に入るタイミングが一緒になったのは、蔵島恭平にナビになってもらったから。
ただそれだけ。
『ほんとに、気になってるとかじゃないからね』と、強調する。
たまたま、色んな事が重なっただけだ。
真由は、一通り話を聞き終えると、
「莉奈、悪いことは言わないから、蔵島くんだけはやめときな」
腫れ物にさわるような表情で言ってきた。
「だから、気になんて――」
反論しようと大声を出したところで、タイミングよく先生が教室に入ってきて、あたしは途中で言葉を飲み込んだ。
真由は心配しながらも、渋々自分の席に戻っていく。
本当に気になるわけじゃないんだから。
あたしは、またちらっと蔵島恭平の背中に目を向けた。