ひまわり


胡坐をかいて、自分のふくらはぎ辺りを拳で叩く。


「あいつ……
あいつ……」
 

大ちゃんは、頭を抱えると首を小刻みに振った。
 

顔を青ざめさせ、瞳までもが震えている。
 

とんでもない事が起こっている――。


大ちゃんの恐怖に震える姿から、痛いくらいあたしの体に不安が刺さった。
 

早くこの先の言葉を聞いて、恭平の身になにが起こっているのか知りたい。
 

だけど、知ったところであたしに出来る事があるのだろうか――。
 

激しく脈打つ心臓のせいで、完全に冷静さを失ったあたしは、今何をすべきなのか考える余裕なんてなかった。
 

聞きたいけど、怖くて。

怖いけど、聞かなきゃいけなくて――。


「大ちゃん……」
 

声が震えた。


俯く大ちゃんの頭上で、震える息と共に声を絞り出す。


「手術……って?」
 

あたしが聞くと、大ちゃんは頭を抱える手を下ろして、深く息を吐いた。


「恭平の眼は……
病に、蝕まれていたんだ」

「病………」

「それも、大分前かららしい……
俺は、あいつの傍についていながら、そんな事に気付きもしなかった。気付いてやれなかったんだよ……」
 





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