ひまわり


「症状って、どんな事が起こるんですか?」
 

トーンを落として、大ちゃんに聞いた。


「私が聞いた話だと、初期症状は、口内炎が出来ると――」

「――口内炎?」

「あと、霧がかかったように一瞬白く見える。
眩しくなるとも言っていた……」

「それって、治らないんですか?」


「――もう、無理だと。それに、恭平は若すぎる。
……進行が早いんだ」
 

一気に、鼓動が乱れた。

過呼吸になりそうだ。
 
口に当てる手が、小刻みに震える。
 

そんなっ!
 

目眩がした。


目の前が真っ白になり、頭がぐらっと揺れた。

 

――あたしのせいだ。




「莉奈ちゃんっ!」
 

その場にいられなかったあたしは、玄関を走り出ていた。
 

殆ど、意識はなかった。
 

太陽の家の門を出て、しばらくすると、震える足が邪魔をして一歩一歩が重くなる。
 

どうしよう………。
 

完全にあたしのせいだ。
 

恭平は、あたしのせいで視力を失う事になる……。
 

恭平からのサインは、いくらでもあった。
 

なのに、あたしは――…。




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