ひまわり
先輩はあたし達の姿を見つけると、眩しい笑顔で近寄ってきた。
「真由ちゃん、来てたんだ」
「は、はい」
「声掛けてくれればよかったのに、注文はもうした?」
どこまで優しいんだ、この人。
「さっき、他の先輩にココアをお願いしました」
「そっか、ならよかった。新森もいらっしゃい」
今度はあたしに、声をかけてくれる。
『どーも』と、いつものように頭を下げた。
「あの派手派手君と一緒じゃないんだ」
先輩は、きっと恭平の事を言っているのだろう。
あたしは軽く微笑みながら、浅く頭を下げた。
「あ、そだ。
この後、野球部の連中と花火をする約束してるんだけど、真由ちゃん達もどう?」
「花火、ですか?」
「そ。昼間の花火なかなかいけるんだぜ」
そう言った後、先輩は他の先輩に注文をお願いされて、『考えといて』と言い残して仕事に戻っていった。
真由は思わぬ展開に顔をほころばせていた。