ひまわり
あたし、かなり下手くそなんだけどな、絵――。
恭平を横目で見ると、眉間にしわを寄せながらも画用紙に色をつけていた。
なんだかんだ文句を言いながらもちゃんと絵を描いている恭平を見て、顔が緩んだ。
恭平の、こういうところが好きなんだ。
暖かくなって、心が満たされる。
「恭ちゃん、なに描いたの?」
優斗君が、恭平の画用紙を覗き込んだ。
「うわっ、恭ちゃん上手」
「なんだよ、その『ちょっと意外!』的な感じは」
小さな子供を相手に、恭平は本気で口を尖らせていた。
あたしも、好奇心で覗き込んでみた。
「うわ、本当だ。超うまい」
「おまえらな……」
「でも、どうして向日葵なの?」
恭平の画用紙に描かれた一本の向日葵を指して、小首を傾げた。
青空に浮かぶ太陽を、ぐっと見上げる、向日葵。
「好きだから」
たった一言、恭平が答えた。
「ガーベラは?」
「それは、お袋だろ」
「あ、そうか――」
変な勘違いをしていたあたしは、乗り出した体を引っ込めて、また画用紙に色をつける。