ひまわり


祈って、祈って、祈って。
 

嗚咽が響いて、あたしの足元が濡れていく。
 

祈ることしか出来ない自分に、腹が立つ。
 

時間だけが無情に過ぎ、一歩一歩、迎えたくない日が確実に近づいてくる。
 

時間を止められる力があたしにあるのなら、これからの一生の時間を止めたい。
 

願い事を叶えてくれるランプの精が出てきたら、あたしはすがりつくようにお願いをする。
 

このままであってほしい。
 
普通の生活が送りたい。
 

高校生活、学校行事を全身で楽しんで、意味もなく走りだして。
 

お箸が転がっただけで、お腹を抱えて爆笑して。
 

3年生になって、進路を真剣に考えて。
 

同じ大学に行きたいと、駄々をこねて。
 

卒業して、就職して、いつかは結婚して、ドレス姿が綺麗だとほめられて。
 

あたしは、普通でいいの。
 

お金持ちになって、裕福な生活が送りたいとか、そんな贅沢は言わない。
 

これからの人生、色んなものを見て、感動して、恭平と時間を過ごして行きたいの。
 

その『普通』を、あたしから奪わないで。
 

――お願いだから。
 

あたしは、教会の床に崩れ落ちた。
 

冷たい床が、現実を突き付ける。




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