ひまわり
「あの子は、本当に優しい子だからねぇ。
時に弱い時もあるけど」
「ハハっ、そうですね。
だから、俺が、あいつの支えになってやりたいと思ってたんです。
だけど……」
恭平は一旦言葉を区切ると、今にも消えそうな声で言葉を続けた。
「それは、ちょっと、無理みたいで……」
恭平の声は、ドア越しのあたしの耳にようやく届く程の大きさだった。
どうしよう――。
中に入れない。
この後、うまく会話が出来るほど、あたしはまだ成長していない。
泣かないと決めたのに、涙が溢れて。
自分でも、さすがに呆れる。
「何があったかは知らんけど、おまえさんが莉奈の支えになってる事は確かだよ」
「――っえ?」
「莉奈の顔を見ればすぐにわかる。
あの子はなんでも自分の中にため込むタイプだから、あの子をこれからも支えてやってね。あの子を支えられるのは、今はおまえさんだけだから」
――おばあちゃん。
「はい」
少し間を開けた後、恭平は強く頷いた。