ひまわり
どう思っているのだろう……。
やっぱり、なんの連絡も来ないうえに今から普通に仕事に行くということは、あたしの事なんてどうでもいいと思っているのかな。
必死になって捜してくれた気配もない。
あたしは、この居場所のなさに足がすくんだ。
目を伏せて2,3歩後ずさると、あたしの足元で砂の擦れる音が哀しく響いた。
「早かったわね、帰ってくるの」
お母さんの声が、久し振りに感じる。
言葉を出したいけれど、喉の水分が全てなくなり声を出す事が出来ない。
鼓動だけが速くなり、この沈黙に不安が増す。
強く風が吹き抜け、沈黙をかき消すように周りの木々が擦れた。
一歩、また一歩と、あたしの足が無意識に後ろへ下がった。
トンと、あたしの背中に当たったのは、恭平の体。
あたしが一瞬よろめくと、恭平は力強くあたしの肩を支えてくれた。