ひまわり
その言葉に、あたしの頭の中で楽しかった時の思い出が駆け巡った。
笑顔の溢れる食卓。
お母さんに小言を言われながら作る料理。
あたしが大好きで自慢だった家族の笑顔が、強く瞑る瞼の裏に浮かび上がった。
「恭平君、だったかしら」
「――はい」
「本当に、ありがとう。
莉奈を支えてくれて、なんてお礼を言ったらいいか」
お母さんは、瞳に浮かぶ涙をこらえながら恭平を見ていた。
「お礼なんかいりません。
その代り、こいつをこれからもずっと、見てやって下さい」
恭平はあたしを見下ろしながら、優しい口調で言った。
恭平の言葉に、とうとうお母さんの瞳から涙が零れ落ちた。
今度はお母さんが深々と頭を下げて、『ありがとう』と何度も繰り返していた。
その間、恭平はあたしの頭を撫でて、眩しいくらいの笑顔を見せてくれた。