ひまわり


「あたし、決めた」
 

そう言って、くるりとあたしを振り返る。


「平岡先輩に気持伝える。
今伝えずにさ先輩が卒業して後悔したくないし、この気持ちを大切にしたいから。
もちろん、受験の邪魔はしたくないからさ、今すぐってわけにはいかないけど――」
 

真由はそこまで言って、『普通すぎる?』と苦笑した。


「十分だよ」
 

あたしが言うと、真由は微笑みながらあたしの目を真っ直ぐに見てきた。


「ねぇ、莉奈、聞いてもいい?」

「うん?」

「蔵島君の事、好き?」
 

突然そんな事を言われて、急に心臓が高鳴った。
 

まるで今から告白をしに行くような緊張感に襲われて、あたしは目を泳がせた。
 

だけど、そんな事決まってるじゃん。





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