ひまわり


「もちろん」
 

照れながら答えると、真由はあたしに体当たりしてきた。


「そっか。安心した。
二人が想い合っててさ」
 

不敵な笑みを浮かべて、真由は勢いよく階段を下って行った。
 

一番下まで下ると、


「憎いぞっ、このーっ!」

 
と、口に手を当てて大声を出した。
 

あっかんベーと舌を出して、廊下を滑りながら走って行く。


「ちょ、真由?」
 

あたしも、慌てて真由を追いかけた。
 

必死に追いながら、おかしくなる。
 

あたしが後ろで笑いながら走ると、真由も笑いながら廊下を走った。
 
 


窓の外では雪が降り続き、グラウンドに雪が積もり始めた。
 

部活動生もいつもより早く帰宅をし、学校は静けさに包まれた。
 


あたし達が駆け抜けた足跡が、グラウンドに残る。
 

それは消える事なく、これからもずっと深く残っていくだろう。
 

あたし達が、この時を生きていたって証になるように。
 

確かに、ここにいたんだって、どんなに時間が過ぎても思い出せるように。
 

空を見上げると、舞い散る雪にあたしの白い息が重なった。
 






――そろそろだった。
 

あたしにも、それくらいわかった。





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