ひまわり


あたしには、確実に見えていた。

 
空に浮かぶ大きな太陽。

 
永遠に広がる青空には大きな入道雲が浮かんでいて、飛行機雲が真っ直ぐに伸びている。
 

蝉が羽を震わせ、木から木へと飛び移り、みんなの額からは滝の様に汗が流れていた。
 

歓声が沸き起こり、吹奏楽部の演奏が場を盛り上げる。


恭平が投げて三振を取ると、ワッと周りが立ちあがった。
 

広い甲子園の真ん中で、恭平が全力でボールを投げている。
 

恭平、お父さんとの夢、叶ったね――。
 

時間はかかってしまったけれど、きっと、お父さん見てくれているよ。
 

甲子園のどこかで、恭平がマウンドに上がる立派な姿を目に焼き付けていると思う。
 

あと、少しで試合は終わる。




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