ひまわり


恭平がニカッと笑った時、恭平の頬に一筋の涙が流れた。
 

あたしは溜まった涙が零れ落ちないように、恭平を見て一番の笑顔を見せる。
 

目の前は涙で何も見えなかったけれど、最後の最後まで、あたしを見つめる恭平をベンチから見守った。
 
 






そして、


とうとう、


恭平の視線があたしから逸れ始めた。


つーっと恭平の頬に涙が伝う。
 

頬に伝う涙を手の甲で拭いながら、恭平はぐっと空を見上げた。
 




太陽の方を向いて。
 

微笑みながら──。

 

その姿はまるで
 



あの日、恭平が描いた


一輪の向日葵のようだった――。








―END―







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