ひまわり
声色を変えずにあたしを見下ろす。
彼に言われて余計涙が浮かんできた。
だけど、ぐっと堪えて彼を見上げる。
ここで泣いたら、完全に負けだ。
「なんで、あんな顔してたの?」
先程と同じ質問に、彼が深いため息をつく。
「しつけぇ女」
そう言って、彼はおもむろに自転車を押し始めた。
取り残されたあたしは、少し戸惑いながら彼の大きな背中を見ていた。
だけど、もちろんここで終わらせるわけがない。
あたしは、何かしらすぐに解決しないと気が済まない性格なんだ。
そんなあたしの悪い癖が、無意識のうちに足を動かしていた。
「ねぇ、なんで?」
ここまでくると、自分でもしつこいなと思う。
素っ気ない顔で歩き続ける彼の前に立ちはだかって、じっと彼の目を見る。
また彼が小さなため息をつくのがわかった。