ひまわり


「うるせ」


ぼそっと言う彼が、あたしから視線を逸らす。


昨日もそうだった。


そうやってすぐにあたしから視線を逸らして、なんて失礼な奴だ。


あたしは殺されること覚悟で彼の顔を両手で挟み、ぐっと自分の方に向かせた。


見る見るうちに険しくなっていく彼の表情に内心ビビりながら、


「答えてくれるまで、しつこく付きまとうからね」


それだけ言って、あたしはその場を走り去った。


「待てよっ、尾行女っ!」


振り返るのが恐ろしくて、背後で叫ぶ彼を無視してひたすら走った。


まぁ、


クラスが同じだから、この後嫌でも顔を合わせる事になるのだけれど――。




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