ひまわり
「ちょ、痛いっ、離して!」
強引に引っ張られる腕を振り解く。
みんなの痛い視線を浴びながら連れて来られたのは、校舎裏の自転車置場だった。
今まで強く握られていた腕を、これみよがしにさする。
今朝までの恐怖心は今のあたしにはなく、目の前でだるそうに立っている彼に対して、ただフツフツと怒りが込み上げていた。
「いきなり何するのよ」
無言で背中を向けている彼を、キッと睨みあげる。
「ちょっと、こっち向きなさいよ」
あたしが強い口調で言うと、ようやく彼がくるりと振り向いた。
それも、メンチ切って。
「おまえさ、一体何がしたいわけ?」
両手をポケットに突っ込み、思い切り眉間にシワを寄せてあたしを見下ろす。
「勝手に人の事待ち伏せして、いきなりわけのわからねぇ事言いやがって。
おまえ、アホじゃねぇの?」
――はっ?
アホ?
あたしも彼に負けないくらい、眉間にシワを寄せた。