ひまわり


「アホじゃない」

「じゃ、馬鹿か」

「馬鹿でもない!」

「じゃ、なんなんだよ!」


二人で馬鹿みたいにどうでもいい事を怒鳴りあって、彼の一言であたしは考え込んだ。


あたしはただ、疑問に思った事をすぐに解決したかっただけで……


「ウジウジしてねぇで、言いたい事あんならさっさと言えよ」


彼はだるそうに言った後、あの真っ赤な自転車にお尻を乗っけた。


今度は彼があたしを見上げる体勢になる。


そのやる気のない顔を見ていたら、やたら虚しくなってきた。


勢いだけで動いたことに意味があったのかな、なんて、今更ながら後悔してしまう。


「早く言えよ」


ため息交じりに言う彼に、あたしの我慢の糸が、とうとうプツリと切れてしまった。




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