ひまわり


「ごめん、見てないんだ」

「えぇ!もったいない。かなり盛り上がったんだよ」


そう言われても、あたしにはいまいちその魅力がわからない。


こんなあたしは、さめてるのかな?


「あたしね、去年の甲子園を見てこの高校受験しようって決めたの。
先輩達の活躍すごかったんだから!
汗を流しながら必死にボールを追って、失敗したら顔をゆがめて励ましあって。

そんな先輩達見てたらさ、なんかうずうずしちゃって。

はやく高校生になりたいってずっと思ってたの」


真っ直ぐに真剣な顔を向ける真由が、とても大人に見えた。


あたしにはない希望があって、今更ながらこんな自分が恥ずかしくなる。


「だからね、あたし野球部のマネージャーになりたいの」


『莉奈は?』と聞かれ、あたしはプリントに視線を落として『……うん』と答えた。


「あたし、親が共働きで家の事しなきゃだから。
ほら、あたし一人っ子だし。だから、部活出来ないんだ」


言ってる自分が悲しかった。




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