ひまわり
「ねぇねぇ」
部活紹介が終わって昼休み。
「お願いがあるんだけど、いいかな」
体育館から教室へ向かう途中で、真由が遠慮がちにあたしの制服の袖を引っ張ってきた。
あたしが『ん?』と眉を上げると、なにやら言いにくそうに体をモジモジさせている。
「あのね」
「うん」
「今からさ」
「うん」
「野球部の、部室に行きたいんだ」
語尾の方は、殆どあたしの耳に入ってこないくらいの小声だった。
下ばかり俯いて、あたしと目を合わせようとしない。
――どうして?
小首を傾げながら、
「いいよ」
あたしがそう答えると、やっとで真由が顔を上げ、パァっと明るい表情を見せた。