ひまわり


「おまっ、声でけぇんだよ」


そう言って、黒いカーテンが閉めてある窓から少し廊下を覗いている。


そして、廊下に人の気配がないことを確認してから、やっとであたしの口から手を離してくれた。


薄暗いこの部屋は、科学室。


棚の上にはたくさんの実験道具が並べられていて、教科坦の趣味で飼っている熱帯魚の水槽が、薄暗いこの部屋での唯一の光だった。


「いきなり何するのよ」


あたしが睨みつけると、


「いや、別に……」


と、あからさまに目を逸らされた。


二人で、怪しさいっぱいのこの教室に座り込む。


いきなり掴まれた腕が痛くて、軽くさする。


すると、


「わりぃ」


彼がバツが悪そうな顔で彼が謝ってきた。


何が目的かわからずに、あたしは何も質問することが出来ない。




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