ひまわり


あたしは床に座り込んだまま彼を見上げ、次の言葉を待つ。


「昨日は悪かった。途中で帰しちまって」



今日の彼は一体どうしたのだろう。


いつもの、蔵島恭平じゃない。


「どうしたの?」


いつもの、自信に満ち溢れた態度じゃない事にどこか具合でも悪いんじゃないかと、彼の顔を覗き込んだ。


「な、なんだよ」


あたふたする彼がかなり怪しい。


「いつもの、蔵島恭平じゃない」


下から見上げると、彼が『はぁ?』と片方の眉をあげた。


「いつもの俺ってなんだよ」

「うーん……無口で、軽く俺様って感じ?」


あたしが顔色変えずに答えると、熱帯魚の水槽を覗き込んでいた蔵島恭平に睨まれた。


「だって、なんか変じゃん。さっきから謝ってばっかだし、柄にもなく弱気な感じでさ。食当たりでもしたの?」

「はぁ? なんだよそれ」


彼はふっと笑うと、机の上にあげられていた椅子を下ろし、ふうっと息を吐きながら座り込んだ。


前かがみになり、目だけであたしを見上げる。




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