ひまわり
「俺の家、おまえも見たろ」
「うん」
「昨日俺さ、あいつらの事、弟と妹つったけどさ、俺ら、実は本当の兄弟じゃねんだ」
――っえ?
あたしが目を見開いて顔を上げると、彼は口の端を少し上げて、悲しげに微笑んだ。
「書いてあったろ?『太陽の家』って」
あたしは、うんと大きく頷く。
「俺ら、親がいねぇんだよ。捨てられたり、俺みたいに親が死んだり……さ」
……死んだ?
親がいない?
それに、あの子たちも……?
捨てられた……って、そんな……
「昨日の優斗と美穂も、赤ん坊の時にあの教会の前に捨てられてた。なんの気持も込められていない手紙と一緒に」
途中、彼が言葉を区切ると、恐ろしい程の静寂に襲われた。
声が震える彼をそっと見上げると、膝の上の拳が微かに震えていた。
そんな彼を見ても、何一つ、かけてあげられる言葉が見つからなかった。