ひまわり
バスから見える家は殆どが平屋で、田んぼや畑の緑が梅雨時期の雨を存分に受けて、とても青々としていた。
細い田舎道をバスに揺られてただ乗っているだけなのに、マイナスイオンに包まれたような変な感覚に陥る。
それだけ、山と畑しかない田舎だった。
バスから降りると、さらに空気が澄んだ。
大きく深呼吸して、体に新鮮な空気を送り込む。
そして、蔵島恭平に視線を向けると、彼の背中越しにあるものが目に入った。
それは――。