ひまわり
「ちょっと真由、とりあえず落ち着いてね。そんな大声じゃみんなに丸聞こえだよ?」
あたしが言うと、真由は慌てて自分の口を塞いだ。
そして、今度は周りの目を気にしながらあたしに耳打ちしてくる。
「あたしね、好きな人出来ちゃった」
あたしが目を丸めて真由を見ると、顔を赤らめてテヘッと笑う。
「うっそ。 誰、誰?」
こういう話しには、あたしも興奮してしまう。
「野球部のキャプテンなの」
「先輩じゃん」
「うん」
「どんな人?」
あたしが聞くと、真由は恥ずかしそうに前髪をいじっていた。
「スポーツマン的な感じで、汗が似合うって言うの?とにかく、かなりカッコイイの」
ハンドタオルを胸の位置に抱いて、真由がどこか遠くを見ていた。
恋する乙女の目。
「あっ、そうだ。今から会いにいかない?莉奈に見てほしいの」
真由に突然腕を掴まれ、教室を飛び出した。
廊下を走って、階段を駆け上る。